葡萄樹の娘を一夜の妻に

ルバイヤート

88

 

天国にはそんなに美しい天女がいるのか?

酒の泉や蜜の池があふれてるというのか?

この世の恋と美酒を選んだわれらに、

天国もやっぱりそんなものにすぎないのか?

 

106

 

ないものにも掌《て》の中の風があり、

あるものには崩壊と不足しかない。

ないかと思えば、すべてのものがあり、

あるかと見れば、すべてのものがない。

 

126

学問のことはすっかりあきらめ、
ひたすらに愛する者の捲毛にすがれ。
日のめぐりがお前の血汐を流さぬまに
お前は盃に葡萄の血汐を流せ。

135

あしたのことは誰にだってわからない、

あしたのことを考えるのは憂鬱なだけ。

気がたしかならこの一瞬を無駄にするな、

二度とかえらぬ命、だがもうのこりは少い。