夏の美しい水色の空と日差しの下で、セミの鳴き声を聞きながら、拘束されず、優しい人との関わりだけを微かに未来に保ったまま、自転車に乗ってペダルを漕いでいるのは、何者にもなれないけれど、ただ幸せだった。

いつものみぞおちの異物感もなく。

これからどうやって生きてゆくか、少しだけ道筋がついたから?

自分がこんなに自転車に乗ることが好きだなんて知らなかった。

 

人間臨終図鑑を読んで、自殺をしなくとも人は死ぬんだなと、なぜか忘れていたことを思い返して。