夜中のカルピスソーダ


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また夜中に100円玉一枚握りしめて部屋を出て、ドクターペッパーを買いに外の自販機へ。

 

散々、たぶん30分以上自販機の前で悩んだ挙げ句(お金がない、無駄遣い、買わなければお金もかからないし太らないしいいことばかりだ、買っていいことなんてない、こういう無駄遣いは積み重なる、あ、カルピスソーダなんかがある、しかも500ml、いいな、好きな人の飲んでたドクターペッパーと迷う、どうしよう、三ツ矢サイダーまである、いいな、どうしよう、好きな人に依存して同じ好きな人が飲んでたドクターペッパーを何度も買うのも、いやそもそもジュース買うのが無駄だ、太るし、少し前の駐車場にいた頃や実家を出たばかりで無職だった頃の自分だったらジュース買うお金なんかなくて、どんなに苦しくても我慢していたし、自販機を見ても自分には関わりのない世界のもので見ても目に入らなかったはずで、しかも今だってそんな余裕なんかないはずなのに、ジュースなんか買おうとして、ああどうしよう、買うとしたら自分の精神にとって大切な買い物がしたい、買わないべきなんじゃないか、ああ駐車場の嫌な老人たちがお金を持ってて、自分はジュースなんか飲めないのにみんないつも自販機でジュース買って飲んでたな……老人たちが飲んでたカルピス、三ツ矢サイダー、嫌な思い出に汚染されてて、もう嫌だ、でもきれいな思い出しかないドクターペッパーはもう最近二度飲んだし、カルピスソーダって人生で飲んだことあるかないかわからないくらいだし、今、飲んでみたい気分なんだ、いやでもやっぱり三ツ矢サイダー? いやそもそも買わないで帰れば、ああもう何も決められない、自販機の前で、いつまでも何やってるんだ、ああでも何か、この苦しさ紛らわしたい、何か買いたい、飲みたい、お金さえあれば、300円あればすべての望みが叶うのに、ああ太る、ああもうどうしよう)、もういいやと、カルピスソーダを清水の舞台から飛び降りるような気持ちで買った。

そしたらもう一年以上ぶり? に飲んだカルピスが美味しくてびっくりして笑ってしまった。

良い買い物ができてよかった。