反復強迫という形でしか自分に起こったことを語りえない物言えぬ人々

 死にたい。死にたいのに理由がわからない。うまくいってる人たちはそれを経験したことがないから「理由もないのに死にたいと思う」という症状だと解釈するように当事者を圧迫してくる。そうじゃないんだよ。理由はあるんだよ。わかりにくいだけで。病気になったのは病気になったのが悪いからだ、あんたがおかしくなったのはあんたの先天性の異常とあんたの性格からくる行動の失敗のせいだと脅迫してくるのもよくあることで。

 でも自分にもそういうところがある。確かに見分けるのは難しい。人を搾取したり、人を傷つけても平気でいる人を見ると激しい怒りと憎しみがこみ上げてきて動揺してしまう。頭ではわかっていても。性格が悪いのではなく人格が傷つけられて破損しているのだろうと。おそらく加害者自身が過去に全く同じように傷つけられた経験があるのではないか、今自分がその人に経験させられている怒り、恐怖、憎しみ、不安、殺意、無力感、こんな人間がこの世で罰されることもなく幸せに生きていていいのかという思い、これらはすべてまさにその人が過去に経験させられた感情、情動そのものではないのだろうかと。