限界

 普通に働くのは苦しくて、もう身体的に限界でした。もう普通の人と同じようには働けません。毎日同じ時間に同じ場所へ通ってしたくないことをして、8時間逃げ出すこともできず、一日中心臓がバクバクしていて、血の気が引いて、頭が真っ白で、常に恥ずかしくて居心地が悪く、取り乱していて誰とも打ち解けられず、誰とも心から話が合わず、パニックが限界に達して迷惑をかけてトラブルメーカーになり、上司が怖くてミスするたびに呼吸が全くできなくなり、トイレにこもって毎日延々とタッピングを繰り返して、何度も石けんで手を洗い、それでも動悸を止めることができず、毎日眠れず、毎日背中が痛くて泣き出しそうにつらい生活はもうできないと思ったんです。 

 「その問題は他の職場に移って解決すると思いますか?」

 「しないでしょうね。」

 「……。」

 無理せず、もう今日はつらいと思ったらやめて、休んで眠ったりしたい。

 「気ままに生活したい?」

自分は気ままに生きたいわけじゃないんです。どうしてそれが誰にも伝わらないんだろう。こんなに一生懸命生きているのに。ただ普通に眠れる生活がほしいだけなんです。

むしろ一生懸命生きたいから仕事を辞めるんです。

 

もう心が死んでいて、生きている気がしない、死んでいるのと同じ、生きたまま殺されていて、

自分が悪いのか? と悩み続けて。

眠れないと話しても、「悩み過ぎなんだよ」と笑われて。繊細すぎるからだと言われ。

繊細って、情けなくて脆弱だって意味で仰ってるんでしょう。

もう生きていられない。

胸が苦しくて、背中が痛くて、呼吸ができなくて、体が重くて、動けない。

毎日、自分が悪いのかと思い続けて。

納得のできないことを、仕事だから、自分に押し付けて、刻み込もうとして、覚えられず、呆れられ、自分一人無能で揉め事ばかり起こして、もうとてもいたたまれず、退職日までの毎日を指折り数えている。

どうして誰も生き方を教えてくれないの。お前が間違っているとしか言ってくれないの。なんでできないの? としか言ってもらえない。

何を言っても全て自分が悪いことになる。

 だってそれはお前が悪いからだよ。お前が何を言ってるのかわからないから。お前の言い方が悪い。お前がわけがわからないから。お前が何をしたいのかわからないから。

 この一年間すべてを間違えていたような気がする。