保険、大学

今日、明日まで生きているかわからないのに

保険に入るなんてあまりに愚劣で

大学、4年後まで生きているかわからないのに

今、ただ生きることさえできるかもわからないのに、大学に入るお金も、勉強するお金も、集中する体も、脳も、神経も、危険な人間のいない安全な環境も、何もかもがなく。

素敵な人に、保険について考えてみたらいいよと、素直な親切によって助言をもらい、勇気を出してほけんの窓口へ飛び込んで、担当してくれたのは、自分と同い年の、スーツを着て薬指に指輪が光る、資格を持った、美しくて知的で優しい女性だった。

恥ずかしくていたたまれず、取り乱してはにかみ、饒舌に不必要な冗談を吐きまくり、長居して、それでいて逃げ出した。

帰り、女性が入り口まで見送ってくださったときの、自分が消え去るまで続けられた直角のお辞儀。

次回、予約を取ってくれれば、それまでに最適なものを調べておきますと約束して頂いて、それきり。

慰めに「勉強など」と人は言う その勉強がしたかったのです

鳥居 キリンの子